
Georges de La Tour · PD
聖ヨセフの夢
作品情報
ストーリー
ラ・トゥールがこの絵を描いたのは1640年ごろ、ロレーヌ公国でのことだ。当時そこはヨーロッパでもっとも過酷な土地のひとつで、三十年戦争のただ中にあり、軍隊と飢饉と疫病が村々を空にしていた。だが絵からはそれがまるで見えてこない。老人ヨセフが一冊の本の上で眠り込み、若い天使が、翼も光輪もない、ごく普通の子どものように描かれて、お告げを伝えようと身をかがめる。すべては隠された一本の蝋燭が担っている。それが少年の手を温かな光で照らし、残りを深い褐色の闇に沈める。ラ・トゥールはこうした、ただ一つの炎に照らされた夜の情景で身を立てた。天使が上げた指は、エジプトへ逃げよと一家に告げる、もっとも静かなしぐさだ。




