
Sailko · PD
ラ・ヴァレンヌ・サン=ティレールの渡し船
作品情報
ストーリー
1864年のサロンのカタログで、ピサロはまだ自らをコローとデンマークの海洋画家アントン・メルビーの弟子と名乗っていた。前年から彼は家族とともに、マルヌ川の湾曲部にあるラ・ヴァレンヌ=サン=ティレールに暮らしていた。1859年にパリのバスティーユからここまで鉄道が通じ、パリの人々が川辺で一日を過ごしにやって来るようになった土地である。この小さな画面に描かれているのは、題名にある渡し船だ。平らな船が黄色い馬車と数人の乗客を乗せて川を渡り、手前の砂地の岸には手漕ぎのボートが引き上げられている。対岸の丘の上には家並みが続き、空は灰色の雲に覆われている。右下には署名と年記がある。初期の作品で残っているものは少ない。1870年の普仏戦争でルーヴシエンヌの家が荒らされ、それまでの絵のほとんどが失われたからだ。




