
Titian · PD
マルシュアスの皮剥ぎ
作品情報
ストーリー
これはティツィアーノの、おそらく最晩年の一枚です。80代半ばを過ぎた画家が、亡くなる直前まで手を入れていたと考えられています。主題は残酷です。笛の名手だった半人半獣のサテュロス、マルシュアスは、音楽の神アポロンに競演を挑んで敗れました。その罰として、彼は逆さ吊りにされ、生きたまま皮を剥がれていきます。画面全体が赤茶けた薄闇に沈み、絵具は指でこすりつけたように荒々しく重ねられています。近くで見れば筆の跡はほとんど混沌ですが、少し離れると肉と血と毛皮が震えるように立ち上がります。右端で頬杖をついて物思いにふける王ミダスは、老いたティツィアーノ自身の姿ではないかとも言われています。




