
Titian · PD
ジプシーの聖母
作品情報
ストーリー
ティツィアーノがまだ二十代だったころ、1510年ごろの一枚です。褐色がかった肌と豊かな黒髪の聖母は、その色合いから、後世に「ジプシーの聖母」という愛称で呼ばれるようになりました。若きティツィアーノはヴェネツィアでベッリーニやジョルジョーネのもとで学んでおり、聖母の静かなたたずまいや背後の緑の垂れ幕には、まだ師ベッリーニの面影が濃く残っています。それでも、右手に広がる田園風景のやわらかな空気や、幼子イエスの肉づきの温もりには、のちに巨匠となる画家ならではの感覚がすでに芽生えています。母は視線を伏せ、立ち上がろうとする幼子をそっと支えています。




