
Ford Madox Brown · PD
英国最後の眺め
作品情報
ストーリー
1850年代のイギリスでは、新天地を求めて国を離れる人が相次いだ。ラファエル前派に近い彫刻家トマス・ウルナーが金鉱に沸くオーストラリアへ渡った1852年、その出発に触発されてブラウンはこの絵を描き始めた。楕円形の画面のなかで、若い夫婦が甲板から遠ざかる祖国を硬い表情で見つめている。背後にはドーヴァーの白い断崖がのぞく。妻は外套の下でそっと赤ん坊の手を握っており、その小さな指先だけが縁からのぞいている。モデルはブラウン自身と妻のエマで、当時の彼は貧しく、みずからインドへの移住を考えたこともあった。

