
Titian, The Martyrdom of Saint Lawrence, 1558. Wikimedia Commons. · PD
聖ラウレンティウスの殉教
作品情報
ストーリー
ティツィアーノはこの画布に十年近くを費やし、1558年ごろに仕上げた。しかも場面をまるごと夜に設定している。聖ラウレンティウスは初期ローマ教会の助祭で、伝承では鉄格子の上で生きたまま焼かれて殉教したとされる。ティツィアーノは画面をほとんど炎だけで照らした。松明、格子の下でおこる炭火、そして雲を割って差す一条の淡い光が、人物をほぼ真っ暗な闇から引き出す。これはヴェネツィア絵画がそれまで挑んだ中でも最も野心的な夜の場面のひとつで、街での競争相手だった若きティントレットも、その光の効果を明らかに研究していた。スペイン王フェリペ2世はこの絵を高く評価し、数年後、マドリード郊外の宮殿兼修道院エル・エスコリアルのために第二の版を注文した。




