
Pieter Brueghel the Elder, The Massacre of the Innocents, 1566. Wikimedia Commons. · PD
幼児虐殺
作品情報
ストーリー
一見すると、雪におおわれたフランドルの村を、馬に乗った兵士の一隊が襲う場面だ。ブリューゲルはこれを、聖書の物語として描いた。新しい王の誕生におびえたヘロデ王が、ベツレヘムの幼い男の子をすべて殺させたという、あの残酷な逸話である。だが今この絵をよく見ても、殺される赤子はどこにも見当たらない。兵士たちは、母親から子牛やガチョウ、麦の袋などを奪っているように見える。じつは後の時代の持ち主が、あまりに惨たらしい幼児殺しの場面を、動物や荷物へと塗り替えさせてしまったのだ。もとの姿は、息子が写した別の一枚に残っている。奪われるものにすがりつく母親たちの必死な身ぶりだけは、塗り替えられずに残っている。




