
Titian · PD
エウロペの略奪
作品情報
ストーリー
1562年、ヴェネツィアの老巨匠ティツィアーノは、スペイン王フェリペ2世のために描き続けてきた神話画の連作《ポエジア》を、この一枚で締めくくった。王の私室を飾るために構想された、詩のように自由な絵という意味の連作である。主題はゼウスが牡牛に姿を変えてフェニキアの王女エウロペをさらう場面で、少女は牛の背でのけぞり、片手を空へ投げ出している。完成するとその年のうちにスペインへ送られた。ティツィアーノはこのころ70代半ばで、絵具を筆だけでなく指でも塗り込め、輪郭を溶かすような自在な筆致に達していた。後年この一枚はルーベンスが丹念に模写し、ベラスケスやレンブラントも学んでいる。19世紀末、アメリカの収集家イザベラ・スチュワート・ガードナーが購入し、ボストンの自邸に据えた。今もその絵は、彼女が並べたそのままの配置でガードナー美術館の壁に掛かっている。




