
Pieter Brueghel the Elder, The Return of the Herd, 1565. Wikimedia Commons. · PD
群れの帰還
作品情報
ストーリー
これは、一年をめぐる六枚の連作のうちの一枚である。1565年、アントウェルペンの裕福な商人ヨンゲリンクが、季節ごとの労働を描く絵をブリューゲルに注文した。うち五枚が今に残り、これは晩秋、11月ごろの場面だ。夏のあいだ高地の牧草地にいた牛の群れが、農夫たちに追われて谷へ、家へと下っていく。木々はすでに葉を落とし、空は重く垂れこめている。ヨーロッパがのちに「小氷期」と呼ばれる寒冷化に入りつつあった時代で、冬の到来はいまより切実だった。聖書の物語も寓意も添えず、人と家畜が冬に備える姿だけを大画面に据えたことが、当時としては新しかった。ウィーンの美術史美術館では、五枚のうち三枚を今も並べて見ることができる。




