
Jacopo Tintoretto · PD
アーゾラの包囲
作品情報
ストーリー
ティントレットがこの乱戦を描いたのは1544年ごろ、まだ三十歳にも届かぬ頃で、しかも描かれた戦い自体はすでに一世代前の出来事だった。1516年、ヴェネツィアの西、本土側にある小さな町アーゾラは、神聖ローマ皇帝マクシミリアンの軍勢による包囲に耐え、ヴェネツィア共和国のために持ちこたえた。数十年のち、あるヴェネツィアの名門がこの絵を注文したのは、戦況の記録のためではなく一族の誇りのためだった。身内の一人がその籠城戦で戦っており、その記憶を目の前に留めておきたかったのである。こうして若い画家は、自分が見たこともない戦いを組み立て直した。手前では甲冑の騎手たちが激しくぶつかり、その中にアーゾラの旗が高く掲げられ、奥では硝煙の向こうに城壁の町が丘の上で持ちこたえている。




