
Antonello da Messina · PD
受胎告知の聖母
作品情報
ストーリー
受胎告知を描いた絵には、たいてい天使ガブリエルと聖母マリアの二人が向かい合っている。だがアントネッロ・ダ・メッシーナのこの《受胎告知の聖母》には、天使がいない。青いマントに顔を包んだマリアが、書見台の開いた本を前に、ただ一人でいるだけだ。その片手が、こちらへ向かってそっと差し出される。まるで、画面の外にいる見えない天使の言葉に応えるかのように。マリアの顔とマントは、簡潔でゆるぎない形にまとめられ、深い静けさをたたえている。アントネッロは、当時ネーデルラントで発達していた油彩の技法をイタリアに持ち込んだ画家として知られる。細やかな光の移ろいと、幾何学のように澄んだ構図とが、この小さな板の上で結びついている。




