
ストーリー
フィレンツェ中央駅のすぐそばにあるドミニコ会の教会、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会。その主祭壇の奥の壁は、1480年代のフィレンツェの人々でいっぱいです。ロレンツォ・イル・マニフィコの叔父にあたる銀行家ジョヴァンニ・トルナブオーニが、ドメニコ・ギルランダイオに聖母マリアと洗礼者ヨハネの生涯を描かせました。画家は聖書の場面を、晴れ着姿の注文主の親族や友人たちで埋め尽くしました。トルナブオーニ家に嫁いだ若いジョヴァンナ・デッリ・アルビッツィは、《ご訪問》の女性たちの中に立っています。ヨルダン川でのキリストの洗礼も同じ連作の一場面です。制作が進んでいた1488年、13歳のミケランジェロがギルランダイオの工房に弟子入りしました。
身廊に戻ると、フィレンツェ絵画の画期となった作品があと二つ待っています。左側廊の壁にあるのは、1427年ごろ描かれたマザッチョの《聖三位一体》で、ブルネレスキが確立した新しい遠近法に基づいて構成された最初期の絵画のひとつです。1570年ごろヴァザーリが石の祭壇でこれを覆い、再び姿を現したのは19世紀のことでした。身廊の中央高くにはジョットの描いた十字架像が吊るされ、脇の礼拝堂では、1570年代初めのブロンズィーノの《ヤイロの娘の蘇生》が、葬儀の蝋燭に囲まれた少女の手を取って起こすキリストを描いています。
外に出ると、緑と白の大理石の正面は、建築家で理論家のレオン・バッティスタ・アルベルティの設計により1470年に完成しました。その費用を出した商人ジョヴァンニ・ルチェッライの名が、上部に大きなローマン体の文字で横一列に刻まれています。
