
ストーリー
ケンジントン宮殿のキングズ・ギャラリーの暖炉の上には、北西ヨーロッパの地図と一本の針をもつ文字盤があります。鎖と滑車で屋根の上の風見とつながっています。これはウィリアム3世のために作られたもので、王はこの部屋にいながら、自分の艦隊や大陸からの郵便にとって風がどちらから吹いているかを知ることができました。いまも動いています。
ウィリアムと妻のメアリー2世は1689年、当時ケンジントン村にあったジャコビアン様式の屋敷を買い取りました。川沿いのホワイトホールより空気がよく、王の喘息に合ったことも理由のひとつです。屋敷はクリストファー・レンが拡張しました。1720年代、ジョージ1世は画家でデザイナーのウィリアム・ケントに公式諸室の改装を命じます。キングズ・ステアケースの壁にケントは、回廊から見下ろす宮廷の人々を描きました。そのなかに、ドイツの森で見つかりロンドンに連れて来られた「野生児ピーター」が、緑の上着を着て樫の葉を手にした姿で描かれています。キングズ・ギャラリーには今も王室コレクションの絵画が掛かり、ティントレットの《ムーサたち》もそのひとつです。
宮殿で最も知られた誕生は1819年、ヴィクトリア王女がここで生まれたことです。彼女は母が考えた厳しい方式のもとでこの部屋部屋で育ち、1837年6月20日の早朝に起こされて、女王になったと告げられました。以来、王室の人々がここに住まいを構え、ダイアナ妃もそのひとりでした。2021年からは宮殿前のサンクン・ガーデンに彼女の像が立っています。
