ロブコヴィツ宮殿
プラハ, チェコ
ストーリー
プラハ城の敷地に建つ建物のなかで、ロプコヴィッツ宮殿は唯一の個人所有の建物です。ボヘミアの古い貴族ロプコヴィッツ家が所有しており、館内を案内する音声ガイドの一部は、学芸員とともに一族の二つの世代が自ら語っています。
この宮殿を取り戻すまでには数十年がかかりました。1939年にナチスが一族の財産を接収し、1945年にいったん返還されたものの、1948年に共産党政権がふたたび没収します。1989年以降、ボストン生まれのウィリアム・ロプコヴィッツは1991年にチェコスロヴァキアへ移り住み、両親とともに長い返還手続きに取り組みました。宮殿そのものが一族のもとに戻ったのは2002年のことです。その後4年間の修復を経て、2007年4月に美術館として開館しました。
16世紀の部屋に並ぶのは、一族が何世紀にもわたって集めてきた品々です。多くの来館者のお目当ては、ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に描いた《干し草の収穫》です。アントウェルペンの商人ニクラース・ヨンゲリンクの邸宅のために描かれた、一年の季節をめぐる六枚の板絵のひとつでした。現存するのは五枚で、そのうち三枚がウィーンに、一枚がニューヨークにあり、6月と7月を描いたこの場面だけが今も個人の所蔵です。すぐそばには、ヴェネツィアの都市景観画家カナレットによるロンドンの眺めが二点あります。馬を買いにイギリスへ渡ったフェルディナント・フィリップ・ロプコヴィッツ侯が、1746年ごろに購入したものです。
さらに進むと、コレクションは音楽へと移り、モーツァルトとベートーヴェンの自筆譜や初期の印刷譜が並びます。ベートーヴェンの後援者のひとりがヨーゼフ・フランツ・マクシミリアン・ロプコヴィッツ侯で、作曲家は交響曲第3番《英雄》を彼に献呈しました。この曲は1804年、侯のために内輪の場で初めて演奏されています。


