ストーリー
モスクワ音楽院は何よりもまず音楽の高等教育機関で、1866年にピアニストのニコライ・ルビンシテインが創設した。1901年に開場したボリシャヤ・ニキーツカヤ通りの大ホールは、市内有数のコンサートホールである。美術を求める人にとっての目当ては、館内にある一枚の大作だ。
サンクトペテルブルクの帝国美術アカデミーを出たばかりのイリヤ・レーピンは、1871年から1872年にかけて『スラヴの作曲家たち』を描いた。ニコリスカヤ通りに新しくできたホテル兼レストラン「スラヴャンスキー・バザール」のための作品で、店を営んでいたのは実業家アレクサンドル・ポロホフシチコフである。画面には20人を超えるロシア、ポーランド、チェコの音楽家が一つの架空の広間に集められ、手前にグリンカ、ポーランド人たちの中にショパンがいる。実際には多くが一度も会ったことがなく、何世代も隔たって生きた者もいた。
第二次世界大戦後、この絵は大ホールの建物に移され、音楽の守護聖人聖セシリアを描いたステンドグラスの跡を埋めた。そのステンドグラスは1941年10月、ドイツ軍の爆弾が建物を直撃した際に失われていた。2011年の修復後、絵は建物内の新しい場所に移された。
