ストーリー
開館の三年前、この美術館はすでに論争を呼んでいた。2022年、鳥取県はアンディ・ウォーホルの《ブリロ・ボックス》五点を、3億円近くで購入した。スーパーで売られる洗剤付きたわしの箱を、木で作り色を塗って再現した作品で、ウォーホルが1964年にニューヨークで初めて発表したものだ。この価格には県民の賛否が分かれた。箱は開館とともに展示された。
開館は2025年3月30日、場所は県の中央にある城下町、倉吉で、古代寺院・大御堂廃寺の跡のそばである。設計は建築家槇文彦が東京で創設した槇総合計画事務所で、展示室は広い芝生に向かって開き、たいていの美術館よりも多くの自然光を取り入れている。1万点を超えるコレクションは、鳥取市にある鳥取県立博物館の美術部門から移されたもので、その多くは鳥取にゆかりのある作家の作品である。西洋絵画もあり、そのなかにはフランスの写実主義の画家ギュスターヴ・クールベが1852年ごろに描いた、まどろむ女性の習作がある。
