
Didier Descouens · PD
苦痛の寓意
作品情報
ストーリー
悲しみという抽象名詞を、女性の姿で描く。ヨーロッパの絵画には長くその習慣があり、19世紀末のパリでもまだ現役だった。アンリ・マルタンがこの喪服の女性を官展のサロン・デ・ザルティスト・フランセに送ったのは1894年である。横向きに立ち、黒いヴェールに包まれ、両手に光る球を抱えている。絵の表面は細かく分割された筆触でできていて、これはスーラを見て覚えたもの。静止した姿勢のほうは、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの淡い壁画から来ている。マルタンは1892年から、作家ジョゼファン・ペラダンが主宰する薔薇十字サロンにも出品していた。日常生活の題材を禁じた神秘主義の展覧会で、その1893年の回にも、黒い布に覆われた人物を出している。




