
Eugène Delacroix · PD
シャルル6世とオデット・ド・シャンディヴェール
作品情報
ストーリー
1820年代、若きドラクロワは中世の逸話に取材した小品を次々と描いた。当時流行していた、親密な歴史画である。この一枚は高さ三十センチにも満たない。描かれているのはシャルル6世、後世に「狂気王」と呼ばれたフランス王で、1380年に即位し、身内さえ見分けられなくなる長い錯乱の発作に幾度も襲われた。かたわらにいるのはオデット・ド・シャンディヴェール、その歳月をともにした伴侶で、宮廷では「小さな王妃」と呼ばれていた。ドラクロワは危機の一瞬をとらえる。王は苦悶に身をよじって剣に手を伸ばし、彼女はその手を握って静かになだめる。これを描いたとき彼はまだ三十歳になっていなかった。名を上げた大作「キオス島の虐殺」から、わずか数年後のことだ。




