
Didier Descouens · PD
磔刑
作品情報
ストーリー
ティントレットはこの《磔刑》を1550年代に、ヴェネツィアのサン・セヴェーロ教会の在俗信心会のために描いた。彼は画面を、上方で息絶えようとするキリストではなく、十字架の根もとに集まる群衆を軸に組み立てている。聖母は気を失って倒れ、まわりの女たちに支えられている。兵士たちは土埃のなかにしゃがみ、キリストの衣をめぐって賽を投げる。両端では二人の盗賊がなおも自らの十字架へと引き上げられ、縄が張りつめている。処刑全体が、完結した一枚の絵に静止するのではなく、進行のただなかに捕らえられているのだ。大きく、落ち着かず、人で埋め尽くされた画面である。手前の賽の遊びは福音書そのままで、兵士たちは縫い目のない衣を引き裂かず、くじで分けたと記されている。




