
Ernst Ludwig Kirchner · PD
カフェの庭で
作品情報
ストーリー
キルヒナーがこのカフェの庭を描いたのは1914年、ベルリンでのことだ。木陰でくつろぐ人々を写しとるには、いかにも奇妙な年である。ほんの数か月後、街から若い男たちの姿は消え、キルヒナー自身も翌年には兵役につき、やがて心を病んで除隊となる。だが画面はそのどれも留めていない。ここにあるのは、彼と「ブリュッケ」の仲間たちが近代の大都市に持ち込んだ、鋭く酸のような色と、落ち着かない、ぎざぎざした筆づかいであり、人物たちは休らいのなかでも身を寄せ合い、どこか張りつめている。この近代的で神経質な佇まいこそ、のちのドイツの政権が我慢ならなかったものだった。1937年、ナチスによる「退廃芸術」の摘発によって、この絵はハレの美術館から引き上げられ、国外へ売り払われた。ベルリンのブリュッケ美術館に収まったのは、それからさらに数十年のちのことである。




