聖母子

I, Sailko · CC-BY-SA-3.0

聖母子


作品情報

種類
絵画

ストーリー

15世紀のイタリアで、油で絵具を溶く北方フランドルの技法がようやく南へ広まりはじめた頃、その橋渡し役としてよく名が挙がるのが、シチリア島メッシーナ生まれのアントネロ・ダ・メッシーナです。ナポリでの修業時代にファン・エイクら北方の板絵に触れ、澄んだ光と細部の精緻さをイタリア絵画に持ち込んだ画家として知られています。ブカレストのルーマニア国立美術館が所蔵するこの小さな聖母子像も、長く彼の手によるものと伝えられてきました。ただ、この結びつきには慎重な見方もあります。アントネロが自ら署名を残した作品はごくわずかで、そのぶん彼の名を冠して伝わる板絵は数多く、どこまでが本人の筆によるものかをめぐって、研究者の判断は古くから分かれてきました。この一枚も確かな制作年が残されておらず、彼自身の作なのか、その様式を受け継いだ工房や追随者の手によるものなのか、決着がついているわけではありません。彼が世を去った1479年の時点でも署名の残る作品はわずかしかなく、この聖母子像は、そうした名だけが伝わる一群のなかに置かれています。

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