
El Greco · PD
聖セバスティアヌスの殉教
作品情報
ストーリー
この絵はかつて上下に断ち切られていた。プラド美術館が二つの半分をひとつに戻したのは1987年、失われていた下半分、聖人の脚と足元の町が市場に現れたときのことだ。エル・グレコが描いたのは1610年ごろ、トレドで過ごした最後の数年で、70近く、同時代の誰とも似ない絵を描いていた。聖セバスティアヌスは信仰ゆえに矢で射抜かれたローマの兵士で、疫病よけに祈られた聖人である。この細長く引き伸ばされた体は、何世紀ものあいだ欠点と見なされ、近代の画家たちがようやく時代の先を見たものと考えた。いま体は重さを失って奇妙な内なる光に満ち、背後ではトレドの町に嵐が迫っている。




