
El Greco, View of Toledo, 1596. Wikimedia Commons. · PD
トレドの眺め
作品情報
ストーリー
16世紀の終わり、トレドはかつての輝きを失いつつあった。1561年にフェリペ2世が宮廷をマドリードへ移すと、この古都は帝国の中心という地位を手放していく。エル・グレコはそのトレドに腰を落ち着け、この一枚を描いた。空は嵐をはらんで暗く、稲妻のような光が丘の上の街を照らす。実際の街並みそのままではなく、大聖堂やアルカサルの位置を彼は自由に組み替えている。緑の丘とうねる雲の下、建物だけが青白く浮かび上がる。人の姿はほとんどなく、風景そのものが感情を帯びているようだ。西洋美術で純粋な風景画がまだ珍しかった時代に、エル・グレコはこの町を肖像画のように描いた。彼はギリシアのクレタ島に生まれ、イタリアで学び、最後にこのスペインの町へたどり着いた画家だった。




