
El Greco · PD
男の肖像
作品情報
ストーリー
1570年ごろ、この肖像を描いた人物はまだ「エル・グレコ」とは呼ばれていなかった。彼はドメニコス・テオトコプロス、三十歳にも満たないクレタ島出身の画家で、ビザンティンの伝統に従ってイコンを描いて育ち、イタリアに移って間もなかった。ヴェネツィアでティツィアーノやティントレットを丹念に学んでおり、その成果がここに表れている。暗い背景、胸に添えた手、静かで少し遠いまなざし。描かれた紳士が誰なのかは分かっていない。この画家がスペインへ渡り、トレドで今日おなじみの引き伸ばされた熱っぽい人物像にたどり着くには、まだ数年を要した。この顔は、彼がまだヴェネツィア風の肖像の枠内にいたイタリア時代のものである。




