
クレメンス9世の肖像
作品情報
ストーリー
ジュリオ・ロスピリオージは、教皇としては珍しい経歴をもって即位した。若い聖職者のころ、教皇ウルバヌス8世の一族バルベリーニ家の周辺にいた彼は、同家の劇場のためにオペラの台本を書いた。1632年に上演された『聖アレッシオ』や、喜劇『苦しむ者は希望せよ』がそれである。1667年にクレメンス9世として選出されたが、在位はわずか二年半ほどだった。カルロ・マラッタがこの肖像画に署名し年記を入れたのは1669年、教皇が12月に亡くなるその年である。ポーズは意図的な引用だ。玉座に座り、四分の三ほど体をこちらに向けた姿は、ベラスケスが1650年に描いたインノケンティウス10世の肖像にならったもので、その絵はいまローマのドーリア・パンフィーリ美術館にある。制作の際のことで語り継がれたのは珍しい厚遇で、教皇は疲れが仕事の妨げにならないよう、画家が座ったまま描くことを許したという。




