
Sandro Botticelli · PD
ダンテの肖像
作品情報
ストーリー
1490年代、ボッティチェッリはすでに何年もダンテの『神曲』の中に暮らしていた。メディチ家傍系のロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコの依頼で、その場面を次々と描き、百枚近い素描を残している。この鋭い横顔は、その長い没頭から生まれた。ダンテが世を去ってから150年あまり、画家の前に本人はいない。ボッティチェッリはすでに定まった姿をなぞった。強い鉤鼻、赤い帽子と外套。そして詩人の頭に月桂冠を載せた。桂冠詩人を示す古い印である。顔は素っ気ない地の上に硬く暗い線で描かれ、生身の肖像というより一つの標章に近い。この月桂にも近い先例があった。フィレンツェの大聖堂の壁画がすでにダンテに冠をかぶせていたのだ。かつて詩人を追放したのは、ほかならぬその町だった。




