
ヤコブ・トリップの肖像(1576頃-1661)
作品情報
ストーリー
ヤコブ・トリップの財産は鉄と武器から築かれ、その多くは妻の一族を通じてもたらされた。妻マルハレータ・デ・ヘールは、リエージュ生まれでスウェーデンの製鉄所や大砲鋳造所を経営した商人ルイ・デ・ヘールの姉妹であり、トリップ兄弟は彼と組んでスウェーデンの金属と武器をヨーロッパ中に売りさばいた。ヤコブはマースの故郷ドルトレヒトに住んでおり、画面左下の銘には84歳と記されている。
レンブラントもこの晩年の彼を描いており、その肖像はいまロンドンのナショナル・ギャラリーにある。筆致は自由で、老人は質素な長衣にくるまっている。これに対してマースは、彼を身分ある人物として演出した。トリップは赤い布張りの肘掛け椅子に座り、頭上には重い赤の幕が下がり、幅広い毛皮の裏地がついた黒い長衣をまとい、赤い布をかけた机のそばで、片手を彫刻のある肘掛けに置いている。1822年にマウリッツハイス美術館に入る前、この肖像はハーグの海軍省の所有だった。



