
Yair-haklai · CC-BY-SA-4.0
黄色いテーブルの読書する女性
作品情報
ストーリー
左下の署名のあとに、マティスは「4/44」と書き入れている。1944年4月のことだ。当時マティスは、ニースの背後の丘にある町ヴァンスに住んでいた。フランスはまだドイツの占領下にあり、この春、妻アメリーと娘マルグリットがレジスタンス活動のために逮捕された。マルグリットはレンヌの刑務所でゲシュタポの拷問を受けた。黄色いテーブルで本を読む若い女性は、オランダ出身のアンネリース・ネルクである。まだ十代で、両親がヴァンスの近くに住んでいた。前年の夏、彼女は助言を求めてマティスの住まいを訪ね、そのままモデル兼助手として雇われた。月に一度、マティスの指示のもとでデッサンを整理し、出来の悪いものを処分し、トレースを取り、木炭画に定着液をかけるのが彼女の仕事だった。ここで彼女は挿絵入りの本を開いて身をかがめ、そばにはザクロが二つ、赤い花を挿した小さな花瓶、黒い線だけで描かれたワイングラスが置かれている。




