
Didier Descouens · PD
サン=シルク=ラポピー、カロル広場
作品情報
ストーリー
サン=シル=ラポピーは、ロット川の断崖の上に貼りついた中世の村だ。木を旋盤で挽いて樽の栓をつくる職人の村として知られていたが、19世紀の終わりにはその仕事も廃れ、家は空き、屋根が落ちはじめていた。そこへ1912年、アンリ・マルタンが一軒を買う。カロル広場のすぐ下、四本の柱に四方へ葺き下ろした瓦屋根をのせた家だった。
カオールの美術館にある縦116センチ、横95センチのこの絵で彼が追いかけているのは、天気だ。曇り空の均一な鈍さ。春の霧雨を吸って、ふだんは赤みを帯びた瓦が石板のような灰色に沈む、その色。絵具は細かい筆触を何層も重ねて置かれている。
マルタンは腕をいっぱいに伸ばした長い筆で、黙って描く人だったと伝えられる。村のほうには、1950年代のはじめに詩人アンドレ・ブルトンが家を買った頃から、画家や書き手が住みつくようになった。




