
Peter Paul Rubens, Saint Sebastian, 1618. Wikimedia Commons. · PD
聖セバスティアヌス
作品情報
ストーリー
1618年ごろのルーベンスは、画家であると同時に商人であり外交官でもあった。アントウェルペンで忙しい工房を営み、取引を好んだ。その年、彼はハーグ駐在のイングランド大使ダドリー・カールトン卿に、自作の絵をひとまとめにして、卿が集めた古代ギリシャ・ローマの大理石彫刻と交換しないかと持ちかけた。この《聖セバスティアヌス》も、まずまちがいなくその交換品のひとつで、ルーベンス自身が自作のなかでも最上のものだと言い添えていた。聖人は等身より大きく描かれる。若い兵士が木に縛られ、矢に貫かれ、その体は古代彫刻のように造形されている。ルーベンスがこの絵に望んだ行き先を思えば、ふさわしい姿だ。深い陰影と、足もとの弓・矢筒・矢を描いた鋭い静物は、イタリアで彼がカラヴァッジョをどれほど学んだかを物語る。一本の矢が、肋骨のすぐ下に刺さっている。




