自画像
作品情報
ストーリー
ウフィツィ美術館は17世紀以来、画家たちの自画像のコレクションを所蔵している。レオポルド・デ・メディチ枢機卿が集め始めたもので、そこに自分の顔を加えるよう招かれることは、ひそやかな栄誉だった。ヴィットリオ・マッテオ・コルコスが自作を送ったのは1913年、イタリアとフランスの上流社会を描いてきた画業の絶頂においてである。裕福な家々が彼を取り合い、なかでも1896年の《夢》でよく知られる。ベンチに腰かけた若い女性の、まっすぐで少し退屈げなまなざしは、同時代の人々に驚くほど現代的に映った。ここで彼は、顧客に注いだのと同じ、心地よく飾る視線を自分自身へ向けている。53歳のときのことで、それから一年と経たぬうちに、彼が生涯描き続けた豊かな社会は第一次世界大戦へと入っていく。コルコスはその後もフィレンツェで制作を続け、1933年まで暮らした。

