
Titian · PD
福音記者マタイの象徴(天使)
作品情報
ストーリー
翼を持つこの若者は、一つの象徴です。キリスト教の伝統では四人の福音書記者それぞれに固有のしるしがあり、天使はマタイを表します。ティツィアーノは1542年ごろ、福音書記者と教会博士を描いた一連の円形画の一つとしてこれを制作しました。下から見上げて読み取れるよう、大きく短縮法で描かれています。意外なのは、それを囲む建物のほうです。ヴェネツィアの大運河の入り口に立つ大きなドームの聖堂サンタ・マリア・デッラ・サルーテが建てられたのは、ずっと後のことでした。1630年から1631年のペストでヴェネツィア市民のおよそ三分の一が命を落とし、その感謝として市が築いた聖堂です。ティツィアーノの板絵は、この聖堂ができるより90年近く前に描かれ、後にその聖具室に集められました。ティツィアーノ自身も、のちのヴェネツィアのペストで、1576年に世を去っています。




