
石の欄干に甲虫のいる花束
作品情報
ストーリー
1741年ごろ、暗い地を背にした花の静物はすでに古い流行だった。前の世紀から画家たちは鮮やかな花をほぼ黒い背景に浮かび上がらせてきたが、好みはとうに移り変わっていた。ラヘル・ライスは当時70代の後半で、なおこの手法で描き続ける数少ない一人であり、その腕は見事だった。庭の花の束が簡素な石の欄干の上に身をかたむけ、暗い部屋の鎧戸をわずかに開けたかのような光に照らされている。オランダの花の絵において、小さな生き物はけっして単なる装飾ではなかった。切られた花束はすでに枯れはじめている、美しさは去りゆくものだと、そっと告げていたのだ。ライスは本物の標本を生涯かけて観察してきた者の忍耐で、一枚の葉、一枚の花びらまで描いた。画面の左下、一匹の甲虫が石の上にとまり、体を花のほうへ向けて、視線をまっすぐ束へと導いている。




