
クイナ猟への出発
作品情報
ストーリー
トマス・エイキンズは、風の力で横に傾いて走るヨットを描くことほど美しい遠近法の問題は知らない、と書いています。ここでのヨットはデラウェア・ダッカーと呼ばれる小舟で、1870年代に広く使われるようになりました。大きな帆を受けて、船体が大きく傾いています。乗っているのは画家の友人サム・ヘルハウアーとハリー・ヤング。デラウェア川沿いの湿地にたくさんいた小さな猟鳥、クイナを狙って出発するところです。一人は舵を握り、もう一人はくつろいで舷側にもたれています。エイキンズはまず遠近法の図面で舟を組み立て、桟橋に立つ人が舟の中をのぞき込めるような角度に傾けました。そのうえで1874年にこの油彩を描きます。同じ場面の水彩、現在ウィチタにある作品より前のことです。そしてパリの恩師ジェロームに送り、自分の上達ぶりを見てもらいました。水彩のほうは評価されたものの売れず、エイキンズはのちにそれを一艘のボートと交換したと伝えられています。




