
Eugène Delacroix · PD
アビドスの花嫁
作品情報
ストーリー
ドラクロワはこの場面を、バイロン卿の詩「アビドスの花嫁」から取った。1810年代のイギリスの読者がむさぼるように読んだ作品だ。セリムとズレイカは従兄妹どうしで、ほとんど兄妹のように育ちながら、まわりのあらゆる掟に背いて愛し合う。岩がちの海岸で、娘の父の手勢に追い詰められたセリムは、海からの救いを呼ぼうとピストルを撃ち、ズレイカは彼にすがりつく。ドラクロワは1840年代から1850年代にかけて幾度もこの二人に立ち返った。禁じられた愛と暴力がもつれ合うバイロン的な筋にも、東方の舞台にも惹かれていたのだ。ルーヴルの一枚は数年がかりで手を入れ、1840年代半ばごろに仕上げた。そのゆるく震えるような筆致こそ、アカデミーの批評家たちが嫌ったものだった。




