
Lucas Cranach the Elder · PD
磔刑
作品情報
ストーリー
1503年にこの《磔刑》を描いたとき、クラーナハはウィーンで働く若者にすぎず、その名はまだ何の意味も持たなかった。のちにヴィッテンベルクへ移り、ザクセン選帝侯の宮廷画家となり、マルティン・ルターと出会い、宗教改革を代表する図像の作り手へと育っていくのは、まだ先の話である。これは現存する最初期の作品のひとつであり、彼にとって初めての祭壇画でもあって、思いきった試みがうかがえる。キリストの十字架を画面の中央に据えず、場面全体を横へずらしているのだ。十字架は右へ押しやられ、二人の盗賊は左に残り、その間の空隙に、悲しみに打ちひしがれたマリアとヨハネが立つ。背後には山と湖、水に囲まれた城のある広い北国の風景が開ける。彼が生涯描き続けることになる故郷の眺めである。




