
Caspar David Friedrich · PD
海辺の修道士
作品情報
ストーリー
これほど何もない絵は、当時ほかになかった。画面のほとんどは、重く垂れこめた空と暗い海が占め、砂浜に立つ小さな修道士の姿がひとつあるだけだ。物語も、船も、木もない。フリードリヒは、絵の奥へ視線を導くための手がかりを、意図的にすべて取り払った。1810年にベルリンでこれを見た詩人クライストは、まるでまぶたを切り取られて世界の果てを見ているようだ、と書いている。見る者は、この修道士と同じように、広大な無の前にただ独りで立たされる。空と海を分ける一本の水平線のほかに、寄りかかれるものは何ひとつない。




