
Sandro Botticelli · PD
神秘の降誕
作品情報
ストーリー
ボッティチェッリがこの絵を仕上げた1500年ごろ、フィレンツェは不穏な空気に包まれていた。数年前にはフランス軍がイタリアに侵攻し、町を焼かれるのではという恐れが広がっていた。厳格な説教で人心をつかんだ修道士サヴォナローラは、1498年に火刑に処されたばかりだった。ボッティチェッリは画面の上部に、ギリシア語でこう書き込んでいる。1500年の暮れ、イタリアの動乱のさなかに、この絵を描いた、と。ヨハネの黙示録の一節を引き、世の終わりと悪魔の跳梁を語る言葉だ。これは、現存する彼の絵で唯一、署名の残る作品でもある。中央では厩で生まれたばかりのキリストを聖母が拝み、天では輪になった天使たちが舞う。だが画面の下では、小さな悪魔たちが岩の裂け目へと逃げ込んでいく。




