
Wassily Kandinsky · PD
小さな赤い円
作品情報
ストーリー
1942年の夏、占領下のパリでは下地を塗ったカンヴァスが手に入らなくなり、パリ郊外のヌイイ=シュル=セーヌに住んでいたカンディンスキーも、手持ちを使い切ってしまいました。それからは小さな画面を平らに置き、木の板や厚紙に描くようになります。この作品もその最後の時期のもので、1944年に厚紙へ油彩とグワッシュで描かれ、大きさは縦42センチ、横58センチほどです。浮遊する形はやわらかく、バウハウス時代の定規で引いたような幾何学よりも、小さな生きものを思わせます。左下にはモノグラムと数字の44、裏面には番号734と制作年が記されています。カンディンスキーは同じ1944年の12月、78歳でヌイイで亡くなりました。作品は妻ニーナの手元に残り、1981年に彼女の遺贈によってポンピドゥー・センターに入りました。




