
小磔刑図
作品情報
ストーリー
この小さな板絵を見た17世紀の人々がまず驚いたのは、キリストの体の重さでした。息絶えた体は全身の重みを足に預けるように垂れ下がっています。ドイツの画家で美術史家のヨアヒム・フォン・ザンドラルトは1675年の著作で、これほど自然な磔刑像はほかにないと書きました。十字架の両脇には聖母マリアと使徒ヨハネが立ち、足もとではマグダラのマリアがひざまずいて祈っています。ザンドラルトによれば、この絵はバイエルン公ヴィルヘルム5世の愛蔵品でしたが、公は誰が描いたのかを知りませんでした。1605年、公の命で、ミュンヘンで活動していたフランドルの版画家ラファエル・サデラーがこれを銅版画にしています。作者がグリューネヴァルトだと明かしたのはザンドラルト自身で、公の息子である選帝侯マクシミリアンはたいへん喜んだといいます。その後、絵の行方はドイツ西部の個人コレクションの中でたどれなくなり、1922年、ベルリンの美術史家マックス・J・フリートレンダーが、かつてバイエルン公のもとにあった磔刑図として発表しました。ハールレムの銀行家フランツ・ケーニヒスを経て、1953年にアメリカの実業家サミュエル・H・クレスの財団が購入し、1961年にワシントンのナショナル・ギャラリーへ寄贈しました。




