
水差しとレモン
作品情報
ストーリー
1916年、第一次世界大戦はグリスの多くの友人をパリから奪っていた。ブラックをはじめ画家たちは前線にあり、すでに負傷した者もいた。一方スペイン国籍のグリスは召集されず、しばしば金にも画材にも事欠きながら、最も苦しい年月をこの街で過ごした。この小さく地味な静物はその時代のものだ。水差しとレモン一つがテーブルに置かれ、くすんだ灰色と茶色に少しの黄を交えた、しっかり組み合う面から立ち上げられている。まわりの戦争よりもはるかに静かで、秩序立ち、動かず、切石を積むように物どうしが噛み合う。彼がいつも描いてきた食卓の世界が、いまや切り詰められ、静められている。レモンは唯一のはっきりした色の点で、灰色に対する小さく明るい円である。




