
ストーリー
シドニーの公立ギャラリーは1870年代、植民地が自前の美術をもつべきだと決めたところから始まり、長らくそれは、ロンドンから運ばれてくるヴィクトリア朝イギリスの絵を買うことを意味した。ドメインの縁に落ち着いた壮麗な砂岩の建物は、古典様式の柱廊玄関と、正面に刻まれた古いヨーロッパの巨匠たちの名を掲げ、いまもその19世紀の野心を告げている。
いま収集するものは、はるかに広い範囲に及ぶ。オーストラリアの所蔵品は、ストリートンやロバーツの陽光あふれる風景から現在まで、この国自身の画家たちをたどる。イリバナ・ギャラリーはアボリジニとトレス海峡諸島民の美術に広い空間を割き、充実したアジアのコレクションもある。
2022年、ギャラリーはおよそ倍の規模となり、日本の設計事務所SANAAが手がけた、港へと下る斜面の第二の建物を開いた。いまや訪問は、彫刻を施されたヴィクトリア朝の石から、退役した戦時中の石油タンクの上に建てられたガラスの棟へと渡っていく。そのタンクの一つは、地下の広大な薄暗い展示空間として残されている。






