
ストーリー
2022年以来、ハルキウ美術館の名品はほかの場所にあります。ロシアによる全面侵攻が始まって最初の数週間で、最も貴重な作品は梱包され、ウクライナの別の地域へ運び出されました。同じ年の3月、市の中心部へのミサイル攻撃で、美術館の二つの建物の窓とステンドグラスが吹き飛ばされました。
運び出されたのは、コレクションの核心です。この美術館は、近郊のチュフイウで生まれた写実主義の画家イリヤ・レーピンの絵画を、ウクライナで最も多く所蔵しています。そのなかに《トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャ・コサック》の第二ヴァージョンがあります。コサックたちが大笑いしながら、オスマン帝国の君主への侮辱的な返書をしたためる場面です。レーピンは1889年から1893年にかけてこれを描き、作品は1932年にモスクワのトレチャコフ美術館からハルキウへ移されました。もうひとつの柱は、キーウの画家ミコラ・ピモネンコが1899年に描いた《狂信の犠牲者》で、小さな町の群衆がひとりの若い女性に襲いかかる姿を描いています。
美術館の歴史的な本館は、1912年に建築家オレクシー・ベケトフがある実業家のために建てた邸宅です。2026年6月14日、ここにロシアのドローンが命中しました。屋根は焼け落ち、2階より上の天井が崩れ、建物内に残っていた約1,000点の素描や版画が被害を受けました。その多くは消火に使われた水によるものでした。

