
ストーリー
ウィーンのリング通りに建つMAK – 応用美術館の壁には、金色の渦巻きや鳥、くるりと巻く枝で埋め尽くされた細長い紙が掛かっています。グスタフ・クリムトが、ブリュッセルのストックレー邸の食堂を飾るモザイク・フリーズのために描いた原寸大の制作用下絵です。この邸宅はウィーンの建築家ヨーゼフ・ホフマンが設計しました。クリムトは下絵に職人レオポルト・フォルストナーへの指示を書き込み、フォルストナーはそれを大理石、七宝、螺鈿、金箔で仕上げました。モザイクそのものは個人の邸宅の中にあるため、「生命の樹」や、待つ姿の「期待」、抱き合う二人の「成就」が描かれたこれらの下絵こそ、多くの人が実際にこの装飾に出会う場所なのです。
芸術家と工房の出会いは、美術館全体を貫くテーマでもあります。1863年、ロンドンのサウス・ケンジントン博物館、現在のV&Aにならって、オーストリアの美術産業博物館として創設されました。デザイナーや製造業者に優れた手本を示すためです。建築家ハインリヒ・フォン・フェルステルによるリング通りの建物は1871年に開館しました。展示室はルネサンスの家具やバロックの室内装飾から、トーネット社の曲げ木椅子、そしてホフマンが1903年に共同で設立したウィーンの工房、ウィーン工房の銀器や宝飾品、織物へと続きます。
アジアのコレクションには意外な宝があります。ムガル皇帝アクバルが16世紀に制作を命じた英雄ハムザの壮大な絵入り冒険物語『ハムザ・ナーマ』の彩色ページのうち、約60枚がMAKの所蔵で、現存するページをひとつのコレクションにまとめたものとしては最大です。その一枚には、ハムザの仲間ウマルが竜と戦う場面が描かれています。描いたのはアクバルの工房を代表する画家のひとり、ダスワントです。




