
ストーリー
2022年の初め、暗がりで泉に身をかがめて水を飲む若い洗礼者聖ヨハネの絵が、バレッタで初めて一般に公開されました。この絵は、マルタの美術コレクションの初代学芸員ヴィンチェンツォ・ボネッロが20世紀初めに入手して以来、その一族のもとにあり、相続人たちが十年間の約束でMUŻAに貸し出しました。ロベルト・ロンギらの研究者は、カラヴァッジョがマルタに滞在した1608年ごろの晩年作と認めました。一方で、帰属に異を唱える研究者や判断を保留する研究者もいます。
この絵がここに収まるのは自然なことです。MUŻAはマルタの国立美術館で、聖ヨハネ騎士団の気配が館のいたるところにあります。2018年から館が入るオーベルジュ・ディタリーは、騎士団のイタリア人騎士の宿舎として1574年に建設が始まり、初期のバレッタの多くを手がけたマルタの建築家ジローラモ・カッサールが設計しました。1683年に階が一つ増築され、騎士団総長グレゴリオ・カラファのブロンズ胸像がいまも入口の上から見下ろしています。名前は「国立美術館」を意味するマルタ語Mużew Nazzjonali tal-Artiの略で、旧館アドミラルティ・ハウスからの移転は、バレッタが欧州文化首都となった年に合わせて行われました。
館内で最も充実しているのは、聖ヨハネ大聖堂の天井画を描いたカラブリア出身の騎士で画家のマッティア・プレーティの作品群です。カラヴァッジョの追随者たちの作品、さまざまな時代のマルタの画家たち、そしてイギリスの画家J・M・W・ターナーによるグランド・ハーバーの水彩画もあります。
