
Paul Signac · PD
アニエール、セーヌ川岸
作品情報
ストーリー
葉を落とした並木の下、河岸の道を歩く人はまばらだ。アニエールはパリの北西、セーヌ河畔の町で、シニャックの一家は父の死後ここに移り住んでいた。対岸で工場の煙突が煙を上げているのはクリシー、すでにパリの縁にあたる地区である。空の左手の赤みが川面にも映っていて、所蔵する埼玉県立近代美術館はこれを朝の光景と見ている。筆触は数年前の作品よりも細かくなったものの、まだ短いストロークで、純色の点を並べる描き方に移るのは翌1886年のことだ。その年の5月、パリで開かれた第八回にして最後の印象派展に、シニャックはこの絵を含む18点を出品した。画面右下には署名と年記「85」が入っている。その後、作品は画家の家族のもとで代々受け継がれてきた。




