
Peter Paul Rubens · CC0
アタランテとメレアグロス
作品情報
ストーリー
画面上部の暗がりに目を凝らすと、蛇の髪をもつ復讐の女神の顔が浮かび上がります。オウィディウスの『変身物語』によれば、英雄メレアグロスはカリュドンの地を荒らした巨大な猪を仕留め、その首を愛する狩人アタランテに贈りました。ところが猪の毛皮をめぐって争いが起こり、それが彼自身の死につながります。女神の姿は、その先の悲劇をそっと示しているのです。手前ではアタランテが猪の鼻先に手を添えて彼を見上げ、背後では狩人が角笛を吹いています。ルーベンスがこの板絵を描いたのは1616年頃のアントワープでした。同じ町の同世代の画家アブラハム・ヤンセンスが、これより前にこの主題を描いていたとみられますが、その作品は失われています。まもなく若いヤーコブ・ヨルダーンスも同じ場面を描き、アントワープ王立美術館に残るその絵は、この構図を踏まえたものと考えられています。




