
Peter Paul Rubens · PD
聖母戴冠
作品情報
ストーリー
仕上がった絵に見えるが、実は仕事のための下図である。1620年ごろ、ルーベンスはアントウェルペンでヨーロッパ随一の忙しい工房を率い、一人の手には到底負えない規模で祭壇画を送り出していた。教会や注文主が訪ねてくると、彼はまずモデッロ、すなわち色まで付けた小さな油彩の下絵を示し、完成した祭壇がどう見えるかを伝えた。この《聖母戴冠》もそうした下絵の一つで、手早く、しかも大部分がルーベンス自身の手で描かれ、聖母が聖人や天使に囲まれて冠へと持ち上げられていく。助手たちはこうした一枚をもとに、構図を何倍も大きな画布へ写し取り、最後にルーベンスが戻って顔や手を仕上げた。この種の下絵はそれ自体が尊ばれ、収集され、この一点は今ロンドンのコートールド美術館にある。




