
Henri Matisse · PD
長椅子の女
作品情報
ストーリー
1921年ごろ、マティスは地中海を見下ろすニースの借り部屋に暮らし、ほとんどその室内ばかりを描いていた。ひとりの女性が、模様のある掛け布とタイル張りの床のあいだ、寝椅子に身を横たえる。鎧戸は、彼が南へ移り住んでまで求めた、あの平らな南の光を招き入れている。第一次世界大戦の緊張のあとに現れたこの意図的なくつろぎは、かつての崇拝者の幾人かを戸惑わせた。彼が軟弱になり、ただ装飾的になったと見たのである。当人は意に介さぬ様子だった。こうした部屋を小さな舞台装置のようにしつらえ、布や衝立を運び込み、雇ったモデルを来る日も来る日もそこに座らせた。ひとりの人物としてよりも、模様のなかのもうひとつの形として。




