
El Greco · PD
聖母子
作品情報
ストーリー
エル・グレコが授乳する聖母を描いた作品で、今日知られているものは三点しかない。トレドのタベーラ病院にある作品には聖ヨセフと聖アンナも加わり、ニューヨークのヒスパニック・ソサエティーの作品には聖ヨセフがいる。聖母がただ一人で幼子に乳を含ませているのは、縦90センチほどのこの一枚だけで、エル・グレコの作品目録を編んだアメリカの研究者も、現存作のなかで唯一の例だと指摘している。この三点が比べられてきたのは、ある古い記録のためだ。1639年、マドリード近郊のバトレス城で作られた財産目録には、礼拝堂に「ギリシャ人の手になる乳の聖母」の絵があったと記されている。城の持ち主は初代アルコス伯爵ペドロ・ラソ・デ・ラ・ベガの一族で、エル・グレコの作品を少なくとも七点所有していた。この絵はマドリードのペリナット家、カンポ・レアル侯爵家のコレクションから出たもので、バトレス城の絵と同じものかどうかは、いまも決着していない。




